ゲホっ…ゲホっ…げふ(やばい…熱っぽい…)
なんだか顔色が悪いね。大丈夫かい?
う、うーん…少し熱っぽいかな? まあ、でも疲れが溜まってるだけかもしれないな。うん。
じゃあ、この漢方を飲んで早く寝るがいいよ。
依然、猛威をふるう新型コロナウイルス感染症、実際に薬局でも電話やオンラインでの相談が絶えません。
今回はそんな新型コロナウイルス感染症に効く漢方を月間200人ほどの相談を受ける漢方薬剤師が解説します!
コロナ陽性症状に漢方を使用するのはアリ?
結論:あり! 自身の症状に合わせた漢方を使うのが大事!!
オミクロン株のコロナ陽性による症状は以下の通りです。
大体4人に1人は無症状のようですが、やはりほとんどの方は何かしらの症状が出ることがわかりますね。
一般的に市販または処方される医薬品(西洋薬)は
熱が出る→解熱剤
咳が出る→咳止め
と言ったように症状に対し、その症状を抑えるお薬で対応します(対症療法)。
一方で漢方はコロナウイルスだろうが、細菌だろうが、例え花粉だろうが体内に入ってくる原因物質を異物と捉え、その異物をいかに早く出せるかという考えで対応します(根治療法)。
ではここからは症状別によく効くおすすめの漢方を紹介していきましょう。
コロナ陽性症状におすすめの漢方6選!
①咳症状に 麦門冬湯
こんな方にオススメ!
・乾燥した咳がなかなか治らない。
・奥の方に痰があるのに出切らない。
まず紹介するのは漢方の代表的な咳どめ薬、麦門冬湯です。
この漢方は咳どめ効果のある半夏を主体にした漢方です。
しかし半夏には乾かす作用もあり、乾燥した咳にはあまりおすすめできません。
そこで麦門冬を初めとする潤す作用を持つ生薬を多く入れることにより、乾燥した咳によく効くように調整されています。
②咽頭痛に 桔梗湯
こんな方にオススメ!
・咽頭の痛みが取れない。
・調子を崩すと喉にきやすい。
次に紹介する漢方は咽頭痛、咽頭炎症状に効く代表的な漢方の桔梗湯です。
桔梗湯は構成している生薬が桔梗と甘草のみという非常に単純か漢方です。
使用する際は少量のお湯で溶き、水でかさまし(60mlくらい)した桔梗湯をうがいし、喉の痛い部分に染み渡らせるようにして服用してください(含み飲み)。
私も必ず常備している漢方で少しでも咽頭に違和感を感じたらすぐに使うようにしてください。
③高熱、関節痛に! 麻黄湯
こんな方にオススメ!
・症状が出てから間もない(風邪の初期)
・高熱が出ているのに汗が出ない方
・関節の痛みが強い方
3つ目に紹介する漢方は麻黄湯です。
麻黄湯はインフルエンザのときなどによく使用する漢方で、高熱や関節痛み原因となるウイルスや細菌を汗と一緒に外に追い出してしまおう!というのが処方コンセプトです。
そのため発汗作用がある生薬を多めに入れています。
また、漢方ではウイルスや細菌は感染後しばらくは体表面に留まると言われており、そのタイミングで使用することが重要です。そのため麻黄湯は風邪の初期に効く代表的な漢方となります。
麻黄湯がなければ葛根湯でも良い
麻黄湯の親戚で、手に入りやすい漢方に葛根湯があります。
葛根湯は麻黄湯に3種生薬を追加したものであり、似た特性を持っています。
漢方は入っている生薬の種類が少ない方が即効性がある傾向にありますから、生薬の種類が少ない麻黄湯の方が葛根湯より即効性があるといえます。
しかし、麻黄湯に比べて葛根湯が劣っているのか?と言われればそういうことではなく、発熱に加えて肩から背中にかけてのこりや張りが強い場合には葛根湯の方が適します。これは名前の由来となった葛根に筋肉の緊張をとる作用があるからです。
④微熱、関節痛に 桂枝湯
こんな方にオススメ!
・高熱ほどではないが、関節痛や風邪症状が出ている。
・汗はじんわりかいている。
次におすすめする漢方は桂枝湯です。
桂枝湯は高熱とまではいかないですが、他の風邪症状が出ている方に用います。
実はこの桂枝湯は前述した麻黄湯とよく比較されることが多く
体力が中程度以上に方→麻黄湯
体力が虚弱な方→桂枝湯
と言われることが多いです。
これは体力が充実した方は風邪の原因となるウイルスに対抗する力が強く、その結果高熱が起きると考えられているためです(生体免疫防御反応)。
普段は体力が虚弱であっても、ウイルスに対しては強く抵抗が働く方もいますので
◎高熱、汗が出ない→麻黄湯
◎微熱、汗がじんわり出ている→桂枝湯
という基準で選んでみてください。
⑤お腹の風邪に 柴胡桂枝湯
こんな方にオススメ!
・風邪をこじらせてしまった。
・お腹の症状がなかなか治らない。
次に紹介する漢方はお腹の風邪に使う漢方の柴胡桂枝湯です。
漢方では風邪の原因となるウイルスや細菌は感染後に体表面に留まると考えられているというのはお話しした通りです。
できるだけ早く追い出すことができたらいいのですが、
追い出すことができなかった場合はウイルスや細菌は徐々に身体の奥に入っていきます。その結果お腹の風邪といえる症状が出てきてしまうということです。
そのようなタイミングを風邪の中期と言い、柴胡桂枝湯が活躍します。
柴胡桂枝湯は先ほど紹介した桂枝湯に柴胡や黄芩といった生薬を追加した漢方です。
柴胡と黄芩は漢方をやる上では外せない組み合わせで、この2つを組み合わせると自律神経を整える作用があります。
お腹の不調も自律神経の乱れによるところが大きいですから、柴胡桂枝湯は風邪の中期のこじらせてしまった風邪に効くわけです。
⑥倦怠感に 補中益気湯
こんな方にオススメ!
・発熱などの症状は治ったけど、倦怠感が抜けない。
・風邪をひきやすい。
最後に紹介する漢方は倦怠感や免疫不全におすすめの漢方、補中益気湯です。
すでに発熱や関節痛はなくなり、特筆すべき症状はないけれどどうにも体調が上がらないということは風邪の後期としてよくあることです。
漢方ではこういった症状を気虚と言います。
補中益気湯はこの気虚の状態を改善する非常に効果的な漢方で、生活に組み込むことでQOLを向上させることができるおすすめの漢方です。
補中益気湯は人参や黄耆といった生薬を配合しており、これらは効果な栄養ドリンク、エナジードリンクの類にも使われています。
詳しくはYouTubeでも解説しておりますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
今回はコロナ症状におすすめの漢方を紹介してきました。
コロナ症状というのは要するに風邪の症状に近いので普段使いしていただければと思います。
また今回は割愛しましたが、漢方薬は薬であり、メリットの裏にはデメリット(副作用)もあります。
各漢方の作用、副作用についてはInstagramでも紹介しておりますのよかったら参考にしてください。